日本保険薬局協会会報誌「NPhA」Vol.72

地域連携薬局・専門医療機関連携薬局として、弊社木村、佐塚、坂本、爲我井がインタビューを受けました。

病院と地域の結節点として敷地内で24時間365日開局

あけぼのファーマシーグループは茨城県西部で9薬局を運営しています。その中の1店舗、つくば市の「あけぼの薬局メディカル店」は筑波メディカルセンター病院の敷地内の立地で、24時間365日開局し地域医療を支えています。公道からのアクセスが良いことから面の処方箋も3割に達し、在宅医療とがんの分野で持ち味を発揮しています。今秋までには専門医療機関連携薬局の認 定申請を行う見通しで、高い専門性を備えた地域連携薬局を実現できそうです。
(2022年6月28日取材)

「薬局ビジョン」が描く薬局像の実現のため敷地内に

――薬局の概要からお聞かせください。

木村 あけぼのファーマシーグループは、有限会社サンメディカルを中核に4社で構成しています。4社で9薬局を運営していまして、そのうち8薬局が地域連携薬局の認定を受けています。

あけぼの薬局メディカル店は24時間365日、年中無休で開局しています。在宅医療に特化した薬局で、クリーンルームも設置し無菌調製にも対応しています。そのため終末期の患者さんも少なくありません。

筑波メディカルセンター病院の敷地内に立地していますが、比較的オープンな場所にあるので同病院以外の処方箋も、かなり多く持ち込まれています。現在、地域連携薬局の認定を受けていますが、がん専門薬剤師もおりますので、10月には専門医療機関連携薬局の認定申請をする予定です。

そもそも、このメディカル店の開設を構想したのは2015年に公表された「患者のための薬局ビジョン」 がキッカケでした。同ビジョンに描かれた姿が今後の薬局の進むべき方向だと確信し、薬局の機能を検討してきました。その結果、在宅医療を強化しつつ多職種連携を進め、かつ専門性の高い薬局を作り上げることにしました。

木村雅彦氏

最近、敷地内薬局に対する風当たりが一段と強くなっています。特に私が堪え難いのは、今回の診療報酬改定で、薬局と不動産取引等の特別な関係のある医療機関は、急性期充実体制加算が算定できなくなったことでした。敷地内に薬局があることで、病院に迷惑をお掛けする結果となってしまいました。私としては、医療機関も薬局も、立地ではなく果たしている機能で 評価していただきたいと強く思っているのですが、薬局が敷地内にあるというだけで、従来算定できていた加算が得られなくなったことについて、口惜しい思いは今も続いています。

――いわゆる敷地内薬局は、 2015年に閣議決定された規制改革実施計画の中で、「医薬分業の本旨を推進する措置を講じる中で、患者の薬局選択の自由を確保しつつ、患者の利便性に配慮する」という観点から厚生労働省自らが当時の規制を改めて認めたものですから、厚労省こそが敷地内薬局の産みの親なのですけどねえ。

木村 お話の通り敷地内薬局は、2016年に医療機関と薬局の独立性に関する規制が緩和されたことで認められました。当薬局がオープンしたのは、その2年後の2018年10月でした。

筑波メディカルセンター病院が、薬局を誘致した際の条件としては、この病院は救命救急センターですので、薬局も24時間365日開局していなければならないということがありました。当時、この条件で手を挙げたのは当薬局だけでしたし、今も、このエリアで24時間、窓口を開けているのは、当薬局しかありません。

また、急性期病院は、できるだけ早く患者さんを地域に戻していかなければなりませんので、在宅医療にも積極的に取り組む必要があると考えました。その意味で、24時間365日の開局と在宅医療への注力は、急性期病院の機能が最大限に発揮できるように、薬局としての協力体制を整えるべく導き出した結論でした。

――地域連携薬局の認定を受けようとしたのは、どのような背景からですか。

あけぼの薬局メディカル店の店内。
洗練された雰囲気が流れる。

木村 確かに、敷地内薬局という環境の中で、認定を取るべきかどうか迷いました。しかし、敷地内とはいえ面の処方箋も応需し、在宅医療にも積極的に取り組み、かつ中心静脈栄養や麻薬持続皮下注にも対応している当薬局を、地域連携薬局の一つのモデルにできるのではないかと考え、まずは地域連携薬局の認定を受けることにしました。現在、がん末期の患者さんは医療機関との連携や経験、麻薬の在庫等により他の薬局にお願いすることは難しいですが、がん以外の在宅患者さんで他の薬局にお願いできる場合は紹介するようにしています。他の薬局との連携を進めつつ、まずは地域連携薬局のモデルとなり、その後、専門医療機関連携薬局の認定を取得するプロセスを想定しました。実は先日も、地域の薬局を対象にした勉強会を、当薬局で開いたばかりです。

訪問は居宅・施設合計で年間5,000回

――筑波メディカルセンター病院の処方箋集中率は、どの程度ですか。

佐塚恵紀氏

佐塚 大まかに言いまして筑波メディカルセンター病院が7割、他の医療機関が3割です。当薬局は在宅医療に積極的に取り組んでいることから、日中の時間帯に在宅の処方箋が持ち込まれることが多く、3割程度まで割合が高まっています。2021年1年間の受付回数を時間帯別に調査したデータによると、夕方の時間帯には、つくば市内に6施設ある在宅専門診療所から処方箋がファクスで送られてくるため、薬局としては夕方以降が忙しい時間になります。一方、19時以降の時間帯にも、処方箋が多く持ち込まれます。というのは、都内に通っているサラリーマンが、帰りがけに持って来られる方が少なくないからです。これは、公道からのアクセスがすごく良いからこその現象だと理解しています。また、22時以降の深夜帯にも、他の医療機関が発行した処方箋が多く持ち込まれています。例えば、22時台に昨年1年間に持ち込まれた処方箋は44件、0時台は22件に上っています。

――在宅医療への取り組みについて、お聞かせください。

佐塚 昨年1年間のデータをご説明しますと、居宅患者さんが302人、施設患者さんが97人で延べ399人でした。7割以上を居宅患者さんが占めます。居宅患者さんに限っても、訪問回数が年間3,051回、緊急訪問が54回、麻薬使用件数が907件に上りました。去年は居宅・施設合計で5,000回近い訪問回数に達しました。今でも同様ですが、居宅・施設を合わせて常時、100人ぐらいの服薬を支援しています。

――深夜帯の訪問は、こちらの薬局に配属されている薬剤師だけで回しているのですか。

坂本岳志氏

坂本 実は、私と在宅専門チームの薬剤師、管理薬剤師の爲我井ともう1人を含めた薬剤師7人で、輪番体制をとっています。輪番の薬剤師は交代で電話を持つことになっていますが、訪問計画を立てて業務に当たっているため、深夜帯に電話が来ることはほとんどありません。

がん専門薬剤師の養成拠点に育成

――クリーンルームも装備し無菌調剤にも対応しておられます。

坂本 ご案内の通り、薬局における注射剤の調製は中心静脈栄養と麻薬持続皮下注が中心となります。昨年1年間の在宅医療における中心静脈栄養の患者数は18人、受付回数で118回でした。 

――在宅医療で使用する機器のレンタルもされています。

坂本 はい。現在、4台のシリンジポンプをはじめ計10台の機器を、医療機関に貸し出しています。

――機器のレンタル需要が高まっている背景を、どのように理解しておられますか。

坂本 端的に言えば、需要が急速に多様化しているためではないかと考えています。つくば市は、学術・研究都市として1987年に市政施行された新しい町です。そのため市の中心部と周縁部とでは住んでいる方々が異なります。周縁部は大家族が多いのですが、日中は老々介護の家庭が少なくありません。一方、中心部は研究職の若い世代が多く、核家族が多いのですが、がんに罹ったご両親を呼び寄せているケースも非常に多いと聞いています。というのも、つくば市周辺は緩和ケア病棟が充実している地域として知られているからです。そのため、がん患者さんが全国から集まってきているようです。患者さんの、こうした増加が需要の多様化を招いているのではないかと思っています。

私どもは基本的に、在宅医療を外来から切り離してはならないと考えています。外来から入院、そして在宅医療を線として捉え、薬局はそれらに、一元的に関与する必要があると考えています。地域連携薬局ならば尚更、そうあるべきです。今後、専門医療機関連携薬局の認定が取れれば、高い専門性を備えた地域連携薬局になれるのではないかと思っています。

爲我井一統氏

爲我井 外来から在宅まで、一貫して同じ薬局が担当することで、患者さんも安心されたという声は実際に寄せられていますので、その基本的な考え方は、今後も大切にしていきたいと考えています。

――このメディカル店の今後の姿を、どのようにイメージされていますか。

佐塚 現在、当薬局は地域支援体制加算3を算定しています。これを年内に、4を算定できるようにしたいと考えています。ネックになっているのが、外来服薬支援料1と服用薬剤調整支援料1及び2の実績なのですが、どちらかをクリアできれば地域支援体制加算4を算定できるようになります。無理矢理、実績を作るようなことはせずに、こうした実績を自然体で積んでいくことが地域医療への貢献に繋がると信じています。

木村 当薬局のがん患者さんは既に、延べ1,000人を超えました。その間に培ってきた知見も少なくありません。それらを生かす意味でも、一人でも多くのがん専門薬剤師を養成し、先々メディカル店を、がん専門薬剤師を育てる拠点にしたいと考えています。若い薬剤師は、いろいろ学ぶためにも薬局間のローテーションが欠かせません。他の地域連携薬局で2~3年経験した後に、今秋には認定されるであろう専門医療機関連携薬局であるメディカル店で、がんの勉強をしてもらいたいと考えています。

訪問を終えて

敷地内薬局というと何かと「職員寮」とか「駐車場」といった経済的な側面ばかり話題になるきらいもあるが、「薬局ビジョン」の具現化を模索し、病院と地域の薬局の結節点として24時間対応や在宅医療への貢献を行うために病院至近に立地するという同薬局の話を聞いて、医療上の側面に注目すべきと再認識した。複数の薬局展開の強みを生かして、他に担い手のない24時間対応を行い、退院カンファも徒歩1分という立地を生かした病院との連携により、他薬局とも連携しながら在宅療養を支援し、さらには専門医療機関連携薬局の認定もスケジュールに入れるなど、木村代表とスタッフのご努力・展望が印象的な訪問でした。 (吉野隆之)

日本保険薬局協会会報誌「NPhA」Vol.72

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