8月10日は「手(ハンド)の日」

 人間の体の中で最も緻密で最も鋭敏な感覚を持つ「手」についての研究を進め、手に関する疾病や傷害などの医療を手がける一般社団法人・日本手外科学会によって8月10日に制定されたのが「手(ハンド)の日」です。

英語で手は「HAND (ハンド)」なので「ハ(8)ンド(10)」と読む語呂合わせから。

記念日を通じて健康な手を持っていることへの感謝、手の不自由な人々に対する社会的な関心、手の怪我・病気・しびれなどの改善に従事している手外科の存在を知ってもらうことが目的で制定されました。

手指の不調が気になる時は、手外科専門医に相談しましょう。

 手指の不調の原因は、さまざま!? 

 外傷や骨折などを原因とするものを除いた手指の不調には、指の腱・腱鞘に炎症が生じる腱鞘炎や、関節が炎症を起こして変形する変形性関節症など様々な種類があります。

手指の不調を訴えて整形外科などに受診される患者の多くは女性で、更年期以降の方が多くを占めています。

手指に不調を感じる女性は、50代前後でこわばりや痛み、腫れが出てきて、その後に適切な治療を受けられないと、疾患によっては60代頃になって指に変形が生じ、強い痛みを訴えるようになります。

家事や仕事で指を酷使することは手指の不調の一因で、例えば、農業に従事している人はハサミでの剪定などの作業で指を良く使う場合、腱鞘炎や変形性関節症を患うことがあるようです。また、リウマチなどの疾患が原因の場合もあります。

遺伝も関係しており、お母さんやお祖母さんの手指に腫れや変形などの症状がある人は、そうでない人と比べて発症する可能性が高いといえます。

更に、更年期以降の女性に手指の不調が多いことから、女性ホルモン「エストロゲン」の影響も考えられます。

 女性の手指の不調にはエストロゲンの関与も

 卵巣で作られるエストロゲンは、生殖や子育てなどに欠かせないホルモンですが、その他、女性の健康にかかわる多様な機能をもっています。

このエストロゲンが急激に低下し始める更年期には、ほてりや発汗、イライラ、不眠、肩こりなど、いわゆる更年期症状があらわれて女性を悩ませることは皆様ご存知のことだと思います。

この更年期症状は約200~300症状あるといわれ、骨密度の低下や膝や腰の痛みや手指の1不調にも関わっています。

エストロゲンの量の変化
エストロゲンの量の変化
指関節の仕組み
指関節の仕組み

 指の関節にある滑膜にはエストロゲンが結合して作用する受容体が存在しており、エストロゲンが作用して滑膜を保護していると考えられています。

更年期以降にエストロゲンが急激に低下することで、この滑膜が腫れて手指の関節に不調が現れたり、腱・腱鞘が腫れることで腱鞘炎になることがあります。

更年期以降の女性の手指の不調は、エストロゲンの低下を理解してケアすることも大切な要素となります。

痛み・腫れ・しびれなどで悩まされる、主な手指の疾患

主な手指の病気

A. へバーデン結節

手指の関節の腫れ・痛み・しびれ・変形が第一関節に起こることを「ヘバーデン結節」といいます。

結節とは骨のコブのことで、手指の関節が腫れて痛むだけでなく、粘液嚢腫(ミューカスシスト) と呼ばれる水ぶくれが現れることもあります。

B.ブシャール結節

手指の関節の腫れ・痛み・しびれ・変形が第二関節に起こることを「ブシャール結節」といいます。へバーデン結節、ブシャール結節ともに現時点では原因は不明ですが、発症が更年期の女性に多く、また利き手以外の手指にも症状が現れることから、エストロゲンが関与している可能性が考えられています。

対処法として、へバーデン結節も同様で、腫れ・痛み・しびれのある部位の安静とテーピング等による固定や服薬(鎮痛剤、漢方薬等)、関節内注射があります。

また、エストロゲンに似た働きを持つエクオールの摂取も、初期の症状の緩和に役立つという報告もあり、期待されています。手指が変形し、日常生活に困るような場合には、手術を行うこともあります。

Ⅽ.腱鞘炎(①ばね指、②ドケルバン症候群)

腱と腱鞘の間で炎症が起こり、痛み、腫れを生じるものを「腱鞘炎」と言います。指の付け根の腱鞘炎が進行し、指を伸ばそうとすると痛み、カクンと「バネ」のような現象が起こることを「バネ指」、手首の親指背側に生じる腱鞘炎のことを「ドケルバン病」と言います。

現時点では原因は不明ですが、発症が更年期や妊娠時、産後の女性に多く、エストロゲンの変動(減少)が関与している可能性が考えられています。エストロゲンの急激な減少や、細かい作業などによる指の使い過ぎで、腱が腫れたり、腱鞘が分厚くなったりして、腱がスムーズに動かなくなり、痛みや腫れが強くなります。

対処法として、症状のある部位の安静とテーピング等の固定や投薬(鎮痛剤等)、関節内注射があります。また手指の不調を訴える人にエクオールの摂取も初期の症状緩和に期待されています。日常生活動作に支障が生じる場合は、腱鞘を切り離し、腱を開放する手術を行うこともあります。

D.手根管症候群

「手根管」とは、手首の手のひら側にある骨と靭帯に囲まれた伸び縮みのできないトンネル状の器官で、腱や腱鞘が炎症を起こして腫れることで、親指から薬指の親指側半分までのどこかに、しびれ・痛みが生じます。

現時点では原因は不明ですが、発症が更年期や妊娠時、産後の女性に多く、エストロゲンの変動(減少)が原因のひとつと考えられています。

対処法として、腫れ・痛み・しびれのある部位の安静と装具による固定や投薬(消炎鎮痛剤やビタミンB 12等)、関節内注射があります。また手指の不調を訴える人にエクオールの摂取も初期の症状の緩和に期待されています。改善が見られず症状が悪化した場合は手術が行われます。

E.母指CM関節

CM関節は指の付け根の関節で、物をつまむときや瓶のふたを開けるときなど、母指に力を必要とする動作で痛みが出ます。

進行すると母指が動きにくくなり、CM 関節の変形は外見からもわかるようになります。母指CMはよく動く関節なので、使い過ぎや加齢に伴って発症したり、脱臼や骨折後に起こることがあります。関節軟骨がすり減り、進行すると関節は亜脱臼してきます。

対処法は、装具による固定や痛み止めなどの投薬、患部を温める温熱療法、関節内注射などの保存療法が有効です。保存療法で良くならない場合は、手術療法(関節固定術、関節形成術)を行うこともあります。

監修:国立病院機構水戸医療センター整形外科骨・運動器部長小川健先生

詳しく知りたい方はこちら

日本手外科学会webサイトでは、手指の不調について解説しています。

早めに、手外科専門医に相談しましょう

手指の不調をケアせず我慢していると、症状を悪化させることになり、選択できる治療の方法も限られてきます。手指の不調の原因は、リウマチも含め、ご自身では判別が難しく、また、手指のしびれは、脳卒中や首の病気などが原因の場合もありますので、手指の不調で不安を感じた時は、早めに手外科専門医に相談することをお薦めします。

詳しくはこちら

日本手外科学会webサイトでは、地域別に手外科専門医が調べられます。

制作:大塚製薬株式会社ニュートラシューティカルズ事業部

あけぼのファーマシーグループと大塚製薬は協働の下、皆様の健康増進に役立つ情報発信に取組んでいます。

8月10日は「手(ハンド)の日」

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